研究センター
西アジア文明研究センター
筑波大学西アジア文明研究センターは、古代西アジアを基点として展開する一連の文明史的課題に取り組むべく、学内外の様々な学問分野の研究者を連携させ、西アジア文明の古層と本質、そしてその周辺世界への影響を学際的手法で考察するとともに、それが現代にいたるまでの後世に与えたインパクトを総合的に評価するための研究を推進しています。
ホームページ:https://rcwac.histanth.tsukuba.ac.jp/about
リサーチユニット・リサーチグループ
「新たな研究領域の創出」、「社会的・地球規模的な課題の解決」に対応する研究活動の加速化と対外的な可視化を含めた研究推進体制の充実・強化を図るため、分野の特性を踏まえつつ、筑波大学における部局の枠を超えた横断的かつ多様な学問領域の研究者群の組織化と情報発信を重点的に支援する制度として「リサーチユニット認定制度」を実施しております。
また、比較的小規模な研究グループを対象とし、その可視化を推進するため、系ごとに研究者群を登録し、ホームページ等を通じて対外的に発信する仕組みとして、「リサーチグループ登録制度」を併せて実施しております。
リサーチユニット
◆ 政治と不平等
現代社会には、所得や財産、雇用、教育あるいはジェンダー、外国人、障害などに起因する格差や不平等がみられる。政治は、このような不平等を解消するための仕組みという側面があるが、政治学の実証研究に基づくと、むしろ社会的に優位な立場にある人々ほど政治に関与し、政策による応答を得ていることが知られている。このように政策の形成プロセスが不平等だとしたら、政治によってかえって格差が拡大し、社会的排除を助長する恐れすらある。そこでこのリサーチユニットでは、政治参加、代表、政策応答といった現実の政治の各側面における不平等を実証的に捉え、そのメカニズムを解明することを試みる。それにより、多様な人々の声が政治に反映され、より公正に政策が形成されるためのシステムの構築への貢献を目指す。
リサーチユニットサイト:https://ddpi.icrhs.tsukuba.ac.jp
主なメンバー
山本英弘(代表)、竹中佳彦、海後宗男、河合晃一、大倉沙江
主な外部資金プロジェクト
・2023-28年度 科学研究費国際共同研究加速基金(海外連携研究)「ジェンダー平等化における女性エリートの位置と役割:日仏比較アプローチ」代表:山本英弘 課題番号24KK0039
・2022-26年度 科学研究費補助金基盤研究(A)「現代日本における平等をめぐる政策観の実証研究:市民とエリートとの相互作用」代表:竹中佳彦 課題番号17H00966
・2020-24年度 科学研究費補助金基盤研究(A)「機会と結果の政治的不平等に関する総合的実証研究:政治的不平等生成メカニズムの解明」代表:山本英弘 課題番号20H00061
・2017-21年度 科学研究費基盤研究(A)「グローバル時代のエリートと対抗エリートの平等観と政策ネットワークの変容」代表:竹中佳彦 課題番号17H00966
◆ 多言語・多文化共生社会の教育課題
日本における外国人住民の増加に伴い、多文化背景を持つ子どもたち(Culturally, Linguistically Diverse Children)の教育において、様々な課題が生じている。日本語学習のみならず、母語・母文化保持、また教科学習やキャリア形成など、多文化背景を持つ子どもの発達に必要な環境の整備には領域横断的なアプローチが必要である。本リサーチユニットは、日本語教育学、教科教育学、国際教育学、言語人類学、国際政治経済学等の領域から知見を総合し、教育の現場や行政、民間団体、企業等と連携することで、社会モデルの実装化を目指した実践的・応用的研究を行う。これらのアクション・リサーチを通して地域社会が抱える教育課題に取り組み、より良い多言語・多文化共生社会の実現に向けて、地域と密接に連携した学際的な研究フィールドの構築を目指す。
リサーチユニットサイト:https://mms-tsukuba.net
主なメンバー
澤田浩子(代表)、明石純一、井出里咲子、長田友紀、唐木清志、菊地かおり、Kuanysh Tastanbekova、三盃亜美、德永智子、裴虹、蒔苗直道、山本容子、米田宏樹
主な外部資金プロジェクト
・2022-25年度 科学研究費補助金基盤研究(B)「学びの場におけるCLD生徒の言語使用の分析とデータベースの構築」代表:澤田浩子 課題番号22H00666
・2022-25年度 科学研究費補助金基盤研究(B)「インクルーシブ教育システムにおけるインテンシブ・ニーズ支援モデルの構築」代表:米田宏樹 課題番号22H01031
・2022-25年度 科学研究費補助金基盤研究(C)「日米における移民の学生支援に関する参加型アクションリサーチ(PAR)」代表:德永智子 課題番号22K02361
・2022-24年度 科学研究費補助金基盤研究(C)「家族を帯同する在日外国人の地域社会参入にむけたビデオ制作―ようこそ日本の保育園へ」代表:井出里咲子 課題番号22K00630
・2022-24年度 受託研究(茨城県教育庁)「高等学校における効果的な日本語指導・教科指導の実践等に関する研究」代表:澤田浩子
・2020-24年度 受託研究(茨城県教育庁)「オンライン学習による日本語初期指導のための基礎研究」代表:澤田浩子
◆ 西アジアの文化遺産の保存・活用と科学分析
本リサーチユニットは、人類の共通遺産である考古学的な文化遺産を対象として、保存科学、考古学、理学、工学、世界遺産学、情報学の立場から複合的に検証および考察を行い、その保存や共有化・活用を目指している。自然災害、内戦等の人為的な災厄により現在でも繰り返し被害を受けている物質文化をいかに保護し、広く社会の中で共有化できるのか、筑波大学内外の連携により国内外の遺跡、資料を用いたシステムの構築を目的としている。アラブの春に関わる混乱や、内戦による西アジア地域の遺跡破壊、博物館資料の盗取、海外流出、また、開発による遺跡破壊といった今日的な重大課題に対して、現状では、個別の研究分野だけでは充分な対処が困難である。そのような現状を背景とし、西アジア考古学、保存科学、工学、理学、情報学といった各分野の専門性を生かしたチームを形成することにより、総合的な対応を行うことが求められている。
2024年度は、過去にパキスタン、アフガニスタンから欧米や日本に流出しており、各地の博物館が収蔵品として保有している仏教時代の塑像など文化遺産を対象に研究を行った。将来的に返還が可能かは別の議論としても、それらの資料の製作地や製作年代を明らかにすることで、それぞれの資料の由来を確かめることができる。フランス・ギメ東洋美術館および日本・平山郁夫シルクロード美術館における資料調査を2024年6月に、また、国際研究会を2023年11月に開催した。
リサーチユニットサイト:https://rcwasia.hass.tsukuba.ac.jp/ru/index_1.html
主なメンバー
谷口陽子(代表)、常木晃、三宅裕、黒澤正紀、高嶋美穂(国立西洋美術館)、島津美子(国立歴史民俗博物館)、内記理(愛知県立大学)、檜山智美(国際仏教大学院大学)、朱若麟(東京藝術大学)、デボラ・クリンバーグ=サルター(ハーヴァード大学)ターシャ・キメット(インディアナ大学美術館)、ニコラ・エンゲルス(ギメ東洋美術館)、ビルギット・シュミット(ベルリン自由大学/ベルリン・アジア美術館)、ジュリア・フォージオーネ(ナポリ東洋大学)
主な外部資金プロジェクト
・2023-27年度 科学研究費国際共同研究加速基金(海外連携研究)「アフガニスタン、パキスタンから将来した「ストゥッコ像」製作技法材料の総合的研究」代表:谷口陽子 課題番号23KK0008
◆ 中央ユーラシア研究ユニット
中央ユーラシア地域は、ロシア、中国、インドといった大国と接し、かつ欧米からの地政学的関心の高い地域でもある。また若年人口の増加が顕著で、市場経済への移行の途上にあるため、潜在的な経済発展の可能性が高い。しかし日本は、2004年以降、外務省主導で「中央アジア+日本」対話に代表される外交的イニシアチブが採られているものの、人文・社会科学分野においてはシルクロードや大国間の競争、環境問題への関心にとどまっているのが現状である。
そこで本リサーチユニットは、「同地域+日本」構想、上海協力機構(SCO)、中国の一帯一路構想(BRI)、ロシアによるユーラシア連合構想などの国際機構と中央ユーラシア地域における国家間関係に着目しながら、中国、ロシア、日本、韓国、トルコ、インドを含む「総合的地域研究」を進める。中国やロシアなど国際情勢を揺り動かしている国々について、中央ユーラシア地域や日本などの隣接地域との国家間関係、国際機構を通じた諸関係をとおして考察することも本リサーチユニットの中心的課題に含まれる。
主なメンバー
ダダバエフティムール(代表者)、臼山利信、明石純一、小野正樹、塩谷哲史、イスマイロフ ムロド、宗野ふもと
主な外部資金プロジェクト
・2021-24年度 科学研究費基盤研究(B)「国際移民をめぐる地域協力枠組の比較研究:アジア・アフリカ・中東・中南米の事例分析」代表者:明石純一
・2021-25年度 科学研究費基盤研究(C)「在日ウズベキスタン人移民の日本選択と新来在留外国人としての位置づけに関する研究」代表者:ダダバエフ
・2024-28年度 科学研究費基盤研究(B)「近現代中央アジアの水利行政と社会の持続性」代表者:塩谷哲史
◆ デジタル・ヒューマニティーズ
本ユニットは、これまでに構築してきた研究基盤を引き継ぎ、人文情報学研究セクションの中核となるよう機能強化を目指す。主に人文社会学系・図書館情報メディア系の教員を構成員とし、人文学・情報学双方の観点から、学際的な研究を推進する。
近年では、人文学資料を適切にデジタル化するための標準として策定されているTEI(Text Encoding Initiative)や研究資源となる画像へのアクセスを標準化・総合運用性の確保を目的とし提案されているIIIF(International Image Interoperability Framework)の普及等により、国内外を問わず人文学的資料の共有が進んでいる。本学の人文学において扱われている、師範学校以来の日本語資料や古代オリエント資料とそれらの研究成果を、こうした国際的な基盤に基づいて世界に発信していく。それにより公共機関である国立大学としての使命を果たすと共に、日本における人文情報学の情報発信拠点としての地位を確立することを目指す。
主なメンバー
堤智昭(代表)、宇陀則彦、和氣愛仁、徳丸亜木、三原鉄也、白井哲哉、加藤誠、松村敦
主な外部資金プロジェクト
・2023-2025年度 科学研究費補助金基盤研究(C)「情報工学的手法によるヲコト点図の計量的分類方式と研究・教育向け検索システムの開発研究課題」堤智昭 (代表)
・2022-2025年度 科学研究費補助金基盤研究(B)「人文学研究者の資料探索行動分析に基づく資料探索プラットフォームの構築研究課題」宇陀 則彦 (代表)
・2019-2021年度 科学研究費補助金若手研究「訓点資料における点図情報の共有と書誌情報データベース基盤の整備」堤智昭 (代表)
・2018-2022年度 科学研究費補助金基盤研究(C)「刹那滅・同一性・再認をめぐる中世インドの哲学対話の解明」志田 泰盛(代表)
・2018-2022年度 科学研究費補助金基盤研究(B)「インド論理学と東アジアの因明を架橋する『因明正理門論』の再検討」小野 基(代表)
◆ 近現代の批判的分析研究
現代社会が直面する社会問題や環境問題をめぐって、その基盤をなす「近現代modernité」の概念に立ち返りつつ、それを批判的に検討することで新たな解決を見出すことを目的とするリサーチユニットです。
本研究の基本理念のひとつは「近現代性modernité」の生み出した矛盾や衝突、分断です。「批判的分析」とは、近現代性と危機がどのように、いかに根源的に結びついているのかを解明することにあります。近現代性の構造的な不均衡を突き止めることで、二十一世紀を特徴付ける危機の連鎖(経済危機、環境危機、政治危機、軍事危機など)を理解することを目的とします。危機とそのコントロール(予測、予防、ケアなど)を研究の中心テーマとしながら、文学(ディストピア文学、環境文学)や思想などにも視野を広げ、近現代性への想像力による抵抗やさまざまなオルタナティヴにも注目します。
リサーチユニットサイト:https://laboratoiredanalysecritiquedesmodernites.wordpress.com/
私たちは定期的にHPに論文やインタビューを英語・フランス語・日本語で掲載しています。
主なメンバー
小川美登里(代表)、佐藤嘉幸、飯田賢穂、トマ・ブリッソン(パリ第八大学)、ミレイユ・カル=グリュベール(パリ第三大学)、エチエンヌ・バリバール(パリ第十大学)
リサーチグループ
◆ 語彙研究と国語辞書研究の相互活性化
言語学としての語彙研究と、社会において一定の市場を持つ国語辞書の研究を連携することで、相互の発展、社会貢献の向上をはかることを主な目的とするが、語彙研究から広がる社会言語学的研究、語彙を手掛かりとした作文支援、エンターテインメントとしての辞書の研究等、派生的なテーマも扱う。研究の種を絶やさず、担うスタッフの継続的な活動を担保するため、濃淡さまざま学外のメンバーも多めに参加いただいている。
教育を中心とした社会実装とのかかわりを目指すため、国辞書編集関係者、教科書編集者・執筆者との連携にも取り組んでおり、関連企業との連携も実際に行っている。
主なメンバー
橋本修(代表)、長田友紀、澤田浩子、矢澤真人(名誉教授)、菅野倫匡、菊池そのみ、砂川有里子(名誉教授)、安部朋世(千葉大学)、田中佑(文部科学省)
主な外部資金プロジェクト
・2022-25年度 科学研究費基盤研究(C) 「 ディスコースにおける有標結束形式の分布と不出現」代表:橋本修 課題番号23K00474
・2021-24年度 科学研究費基盤研究(C)「メタ言語能力向上に資する小中学校用国語教育コーパスとデータ駆動型教材開発の研究」代表:安部朋世 課題番号22K02649
◆ ジェンダー・セクシュアリティ
本リサーチグループは、ジェンダー平等の実現のために、ジェンダーおよびセクシュアリティに関する不平等や格差・差別・抑圧等を、主として社会科学研究の手法を用いてその実態を明らかにし、来たるべく社会を構想することを目的としています。
主なメンバー
鈴木彩加(代表)、目黒茜、大倉沙江、秋山肇、周筱、蔡芸琦、葛山泰央、三品拓人、礪波亜希(ビジネスサイエンス系)、篠原翼
主な外部資金プロジェクト
・2022-27年度 科学研究費補助金若手研究「フェミニズム運動の「敵手」に関する実証および理論研究」代表:鈴木彩加 課題番号22K13545
・2023-26年度 科学研究費補助金特別研究員奨励費「「女の健康運動」におけるフェミニストと医療専門家の間で生じる役割葛藤」代表:目黒茜 課題番号23KJ2092
・2024-27年度 科学研究費補助金基盤研究(C)「障害者政策の変化と規定要因の包括的解明:戦後日本を対象とした実証分析」代表:大倉沙江 課題番号24K04711
・2024-25年度 公益財団法人村田学術振興財団2024年度研究助成「後期近代社会の少年司法制度における「保護主義/厳罰主義」の二元論的対立を問い直す:少年法適応年齢の引き下げと性交同意年齢の引き上げを中心に」代表:周筱
・2018-25年度 公益財団法人ヒロセ国際奨学財団研究助成「詐欺罪における告知義務の判断構造」代表:蔡芸琦
・2024-26年度 科学研究日補助金研究活動スタート支援「児童養護施設退所者の生活と人間関係:「親を頼りにくい」人生の社会学」代表:三品拓人 課題番号24K22685
◆ English Medium Instruction (EMI)
This research group focuses on effective practices in English Medium Instruction (EMI) and aims to share the latest research findings in the field. We strive to enhance participants' teaching skills through collaborative workshops and seminars. Additionally, the group provides opportunities for joint research and professional development, fostering an interactive environment where educators can exchange ideas and best practices. By connecting researchers and practitioners, we aim to contribute to the advancement of EMI in educational settings.
リサーチグループサイト:https://i-emi.org/
主なメンバー
イスマイロフ ムロド(代表)、山本 祐規子、末森 咲、ドジャリロワ ニゴラ、マダバクス ナヒーン
主な外部資金プロジェクト
・2021-2024年度 科学研究費基盤研究(C) 「The study of pedagogical competencies and skills of Japanese faculty involved in English Medium Instruction (EMI) 」代表:イスマイロフ ムロド 課題番号: 21K00701
◆ e スポーツ
本研究グループは,国際及び国内平面におけるeスポーツ産業について,分野横断的かつ多角的な視点から研究するプラットフォームを構築するために,日本におけるeスポーツについて研究することを目的としています。
主なメンバー
篠原翼(代表)、星野豊、秋山肇
人文社会系研究交流セミナー
自分の専門領域以外の教員と交流する機会を増やし、人文社会系における横のつながりを広げることを目的として、定期的に行われています。
第1回 「ルソー政治哲学の生成 ̶手稿に見られる哲学的模索」
日 時:2024年7月11日(木)16:00-17:00
講演者:飯田 賢穂 (人文学域・准教授)
https://www.jinsha.tsukuba.ac.jp/node/385
第2回 「少年司法制度から見る『法的パターナリズム』の現在」
日 時:2024年9月6日(金)15:00-16:00
講演者:周 筱 (国際公共政策学域・助教)
https://www.jinsha.tsukuba.ac.jp/node/394
第3回 「日本語の文を読みやすくする技術-句読法の変遷と課題」
日 時:2024年11月19日(火)14:00-15:30
講演者:岩崎 拓也 (日本学域・助教)
https://www.jinsha.tsukuba.ac.jp/node/404
第4回 プチシンポジウム「メディア史になにができるか?人文科学と社会科学をつなぐアプローチ」
日 時:2024年12月13日(金)17:00-18:30
司会:馬場 美佳 (人文学域・教授)
登壇者:白戸 健一郎(日本学域・准教授)
長尾 宗典(人文学域・准教授)
加島 卓(国際公共政策学域・教授)
https://www.jinsha.tsukuba.ac.jp/node/408
第5回 「近現代イギリス服飾における『他者』:服飾研究の可能性とは」
日 時:2025年2月13日(木)10:00-11:30
講演者:山口 有梨沙 (人文学域・助教)
https://www.jinsha.tsukuba.ac.jp/node/424