筑波大学人文社会系が独自に開発したiMDを用いることによって、学術誌の多様性をはかることが可能となりました。世界大学ランキング等に用いられているデータベースに収録されていない学術誌は、従来評価の対象となっていなかったわけですが、iMDによって言語・国を問わず、すべての学術誌を定量的に評価することができます。
iMD*について
- iMD は “Diversity Factor” (DF) の改良版です。DFは、「被引用数に基づく現行の指標は人文社会分野の研究力のほんの一部しか捉えていない」(Ikeda & Morimoto 2015) という問題意識から開発されました。
- DFは次の計算式で算出されます:(A+C)/I 。Aは年間の著者所属(重複を除く)、Cは所属機関の立地国(重複を除く)、Iは年間発行号数を示します。これにより、DFは学術誌の1号あたりの多様性を著者の所属機関とそれらが立地する国という観点から定量化します(前掲論文)。
- DFの改良版であるiMD (index for Measuring Diversity) は次の計算式で算出されます:logn (α×C+β×A) 。CとAはDFの場合と同様です。α とβ はCとAの重み付け係数です。CとAに同等の重み付けを付与するには、α とβ に1を指定します。AにCの2倍の重み付けを付与するには、αに1、β に2を指定します。これにより、iMDは学術誌等の1年ごとの多様性を著者の所属機関とそれらが立地する国という観点から、必要に応じた重み付けで定量化します。なお、Aの値の幅が大きすぎるため、iMDでは対数スケールを採用しました。
参照文献
森本 行人, 池田 潤, 国内初のオープンリサーチ出版サービス, 情報の科学と技術, 2023, 73 巻, 1 号, p. 21-25, 公開日 2023/01/01, Online ISSN 2189-8278, Print ISSN 0913-3801, https://doi.org/10.18919/jkg.73.1_21.
2019年2月15日に開催したシンポジウム「人文社会系分野における研究評価~シーズからニーズへ~」より、池田潤講演記録(つくばリポジトリ、PDF):190215 池田潤「iMD 新たな学術誌評価指標の提案」
Jun Ikeda and Yukihito Morimoto, Research Metrics for the Rest of Us, Inter Faculty 6 (2015), 95-98. https://journal.hass.tsukuba.ac.jp/interfaculty/article/view/99
iMDを導入している組織
- 筑波大学 人文社会系
- 筑波大学 人間系
※ 画像はiMDの商標登録・特許登録のものになります。(商標登録【登録6249662】、特許登録【特許第7004997号】)
